東海道お化け道中
2006/08/28 22:03 - た・だ行
大映妖怪三部作のラストは、股旅物と父を求めて人情話のふたつの人間ドラマを経糸に、因果応報陰惨な怪奇譚を緯糸にしたシナリオ構成。
第一作目「妖怪百物語」と同様、人間ドラマが主で、妖怪たちの関わりはあくまで陰。
アホか! と言いたい。
前作「妖怪大戦争」で立たせまくった妖怪たちのキャラを殺してどうすんのか。
娯楽映画としては、著しく退行しています。
この作品でこのシリーズのターゲットがどの層なんだか、さっぱり分からなくなりました。 私は、てっきり、小学生くらいの子供がメインターゲットだとばかり思っていたんですが。
子供はキャラクターが好きなんですよ? しかも何でよりにもよって股旅なんだか。 それとも昭和44年当時の子供たちは、侠客にシビレたんですかねー?
でもガメラを観に来る子供たちが股旅に萌えるとは思えないんですが(「東海道おばけ道中」は「ガメラ対大悪獣ギロン」の併映作品。)。
まぁそれはまだ我慢ができてもですねー。
致命的だなぁと思うのは、妖怪が正義の味方に堕してしまったこと。
蛇骨婆を頭目とした鬼塚チームも、百々爺を首魁とする八つ墓山チームも、それぞれの縄張りでのタブーを犯したヤクザ者を取り殺すだけにしてほしい。
なんで幼女をこれ見よがしに助けたりするのか。特に土転び。お前だお前。
妖怪が人間の倫理に基づいて、人間界に介入しちゃダメでしょう。
ヤクザに対する妖怪たちの祟りがたまたま、お美代たちを助ける方向に転がったっていうならともかく、弱い人間を積極的に助ける妖怪なんてぇのは、まことにもっていただけません。