感染
2006/10/08 22:41 - か・が行
どんだけ巧い役者が演じていても、シナリオや演出が腐っていたらどうにもならないというのを、まざまざと見せつけてくれる映画。
佐野史郎とか南果歩とか、実に見事に不気味さを醸し出しているのに、本当にもったいない。
罪悪感を持った者に感染して、その罪悪感に苛まれるような幻覚を見せ、魂も肉体も蝕むウィルスというアイディアは、まぁ非科学的で論理性には乏しいけれど、それほど悪いものとは思えない。
でもそんなウィルスに感染することをテーマとした『ホラー作品』にするなら、感染してどうなったら一番恐いのか、制作陣はもうちょっと考えないと。
自らの罪悪心に対して、目を反らさずに直面させられる状態、そんな極限状況に追い込まれた登場人物に、観客が感情移入せざるを得ないことじゃあないんですか?
視える幻影が罪悪心と関係ない、天井歩き回る看護婦だの、鏡に映らない真夜中の見舞客だの、ムダにホラー風味なのがいただけない。
アルツハイマーの老女も狐面の児童も無意味なら、外科医ふたりのエピソードも無意味。病院も経営不振である必然性がない。
単なる思わせぶりの積み重ねで、ストーリー展開や演出があまりにも的外れ。困ったもんです。