予言
2006/11/13 21:46 - や行
死すべき運命にある人間を救ってしまった報いが、悲痛なる無間地獄に陥ることだなんて、そのあまりにも大きすぎる不条理はかなり衝撃的。
何もしなければ娘を失い、娘を助ければ妻を失う。
何度も何度も繰り返し絶望的な喪失感を体験させられる主人公(といっても劇中では2回でしたが)に感情移入なんかしたら、ヘタするとこちらの心が引き裂かれてしまう。それくらい心を揺さぶられました。
娘を救えて良かったとホッとした次の瞬間、今度はそのトラックが妻を踏みつぶす。この凄絶さ・絶望感には言葉を失います。
この映画の見所はまさにこの点でしょう。実にすばらしい。
この無間地獄の連鎖を断ち切るには、ラストでああいう締め方をせざるを得ないのは分かります。
でも、既に起きてしまった運命の変更ができた(?)というのは如何なものか。
とは言え、これは許容範囲と言って良いでしょう。
まぁ。問題点も多々ありますが。
意図不明な回覧板キラークイーン・バイツァ・ダストの発動だとか、なぜか担任教師が恐怖新聞に取り憑かれていることを知っている女生徒だとか、不吉な予言を自動書記することで急速に老化する少年だとか、顔のもげた小野真弓だとか、焼けただれた娘だとか、ムダにおどろおどろしい鬼形邸だとか。
不気味っぽいから、なんでもかんでも放り込んじまえ的な杜撰なエピソードの羅列はどうなのか。
あと、新聞自体なのか、その新聞を念写したポラロイドなのか、自動書記なのか、不吉な未来を提示する方法をどれか一つに絞った方が、スッキリしてまとまりが良かったんじゃないでしょうかね。
まぁでもJホラーにも関わらず、意外と見られる映画に仕上がっていたのは、原作の偉大さゆえだったりするのかも知れません。