ペイチェック 消された記憶
2007/01/08 22:38 - は・ば・ぱ・う゛行
ハリウッドならではのド派手な演出に飾り立てられてはいますが、その梗概はけっこう原作に忠実で、原作の持つ謎解物としての知的探求心と、ハリウッドエンターテインメントによるサスペンス&アクションの爽快さが見事に融合した作品だと思います。
ただ、最初は、不覚にもそのアイテム活用のされ方には多少興醒めを感じました。
例えば一番最初のアイテム「煙草」と「サングラス」。
容疑者の所持品であり、しかもこれ見よがしに封筒に入れてある煙草。
そんな状態に置かれた煙草なら、何らかの証拠品してもっと慎重に取り扱うんじゃないのかなぁ。
FBIの捜査官がその煙草をガメてその場で吸う、なんて行動にリアリティがあるのかね、と疑問に感じて、まずここで引っかかりました。
そして、消火剤のスモークの中でサングラスをかける主人公。
たしかにあんな状態なら目の防護も考えるかも知れないけど、それよりも先に、全員の目が見えない状況を利用して、速攻で逃げだそうとするんじゃなかろうか。
ゴーグルならともかく、サングラスじゃそれほど効果もなさそうだから、かけようって発想は出てこないんじゃないかなぁ、とこれまた疑問に感じました。
次は三番目の「指輪」。
バスの乗客に引ったくりがいる確率はけっこう低い気がするんだけど、これはぬるま湯な日本に住んでいるせいですかね。
あと、カフェのマッチに水が垂れて、上塗りが剥がれる確率も相当低いと思うんですが。
とまぁそんな感じで、偶然の中でもとりわけ確率的に起こりづらいと考えられる偶然で、アイテムの謎が解けるというのが、非常にご都合主義な感じがして一歩引きました。
でもそれは、これは未来を見る機械でその場面を見たからであり、それは偶然ではなく必然だ、という設定なんでしょうね。
それによくよく考えると、そんなご都合主義が次々に身の上に降りかかるからこそ、登場人物が、どうも自分は記憶を消される前に未来を見たらしい、という正しい推論に到達し得た、という風に見るべきであって、脚本的に正しいあり方なんでしょう。
まぁそんなこんなはありますが、良くも悪くもやはりハリウッド映画。心に永く残るって程までの映画ではないですね。