奇談
2006/01/28 20:57 - か・が行
この監督が持つ、諸星作品への思い入れが今ひとつよくわからない。ここまで原作に忠実に映像化するくらいだから、信者レベルの愛を持っているとは思うんだけど……
尺の関係で、他エピソードを取り入れるのは良いとしても、原作の根幹を揺るがすのは如何なものか。じゅすへるの裔のきりんとが、あだんの裔をぱらいそに連れて行っちゃダメじゃん。原作が『主はただおひとり』じゃない、といっているのを読み取れないのは如何なものか。
そしてクライマックスですよ、問題なのは。
復活した善次登場~昇天の開始~崩壊する岩の大聖堂~泣き詫びる重太~立ち上る光の十字架~それを見上げる稗田と里美~光の十字架ロングショット。
この流れは怒濤のごとく一直線につなげないとイカンでしょ。お妙と静江の教会での祈りや、神隠しから帰ってくる子供たちなんかで、なんで話の腰を折るかなぁ?
まぁ、他にも、タイトルが「奇談」なんて代名詞的なものだったり、無意味にJホラー風味だったり、不満はいろいろあるけれど、これだけ見事なロケ地を探し当てたこと、あんなヤバげな原作をこれだけ忠実に映画化したこと、そして、鳥肌ものの迫力ある昇天シーンの映像。これらは欠点を全部チャラにするくらいパワーがありますよ。すばらしい。
参考アフィリエイト
原作
-
妖怪ハンター 地の巻
原作「生命の木」所収
- 諸星大二郎アフィリエイト