巨大アメーバの惑星
2007/06/20 22:43 - か・が行
テレビ東京で現在放映している昼の映画「午後のロードショー」はけっこう好感が持てるプログラムですよね。
1週間ごとに特集を組み、あるテーマに沿った映画をセレクトして放映するという、まるで名画座のような、作り手の趣味や個性が見える番組作りがとてもステキ。
そしてこの時間帯は、東京12チャンネルだった遥か昔から、とてもユニークな映画の数々を放映していた由緒ある時間帯なのです。
もう20~30年前にもなりましょうか。
私にとってのトラウマ映画の数々は、この東京12チャンネルの昼の映画で観たものがけっこう占めていると思います。
なお、ここでの「トラウマ」とは本来の字義である心的外傷という意味ではなく、その強烈な印象ゆえ今なお魂に刻みつけられて消えることがないという意味で使用しています。
番組的には単に予算が少ないというのがその理由だったのかも知れませんが、他局・他時間帯ではなかなかお目にかかれないアメリカ50・60年代のB級・C級映画がいくつも放映されていたものです。
B級・C級のホラーやSF映画に萌えな私ですが、そんな私の主成分は、この東京12チャンネル昼映画枠と、各局の深夜映画枠の二つなのでした。
前置きが長くなりましたが「巨大アメーバの惑星」の話です。
かなりの低予算ぶりが凄まじいです。凄まじ過ぎます。
余りに露骨な書割の背景にはショックを隠しきれません。
せめて火星の自然の遠景や超未来都市などは、もうちょっと実景っぽくリアルな絵にならなかったんでしょうか。
登場モンスターすら絵だったりして、もう立ち直れないくらい愕然とさせてくれます。
でもそんなことは些細なこと。
この映画は次の二つが素晴らしく、あとの要素ははっきり言ってどうでもいいとすら思えてきます。
- 火星風景を表現する映像効果
- コウモリグモの造形
火星風景を表現する赤い映像効果はなんでもシネマジックというらしい。
DVDの特典映像のオリジナル・トレーラーで、やたらシネマジックシネマジック連呼しているなぁと思ったら、解説書に書いてありました。
ネガに反転してオレンジのフィルターをかけているそうですが、なかなか面白い特殊効果だと思います。
そしてさらに素晴らしいのがコウモリグモのデザイン。コレだけでも観る価値あり。
一度観たら忘れられません。インパクトが強烈すぎるにも程があります。
この映画で覚えていることといったら、このコウモリグモが出ているシーケンスと、アメーバの頭のアンテナがグルグル回転していたことくらいでした(ここで記憶違いがありました。DVD観返したらアメーバの頭でグルグル回転していたのはアンテナではなく目玉でした)。
映画に登場する数あるモンスターの中でも、一二を争う秀逸なデザインがとにかく素晴らしい。
コウモリグモの造形だけで、B級SF映画史に燦然と光り輝くんじゃないかと思いますこの映画は。
も一つ付け加えるなら、火星人による警告の終わりにかぶさるようにして、ここで初めて「THE ANGRY RED PLANET」と映画のタイトルが表示される。
タイトルそのものが火星人の怒りの警告を意味しているこのラストシーンはなかなか効果的で良い構成だと思います。
とにかく一見の価値ありな映画です。
参考アフィリエイト
- 怪物王女(3)
「白黒王女」の回にコウモリグモ登場