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2007/07/02 20:47 - さ・ざ行
ほぼ100%のCG背景と、カラーイフェクトを過度に施した実写人物を組み合わせることで創り出される、まるでルネサンス期の油彩画が動いているかのような映像は、実に美しい。
平面を切り抜いて作った騎馬兵や歩兵などのオブジェクトを別々な奥行きで配置し、それらのオブジェクトの隙間合間を縫うように動き回るカメラにより、ユニークな 3D 効果を生み出したエンドロールも、これまたカッコいい。
背景のペープサートとも呼ぶべきこの手法、Flash で 3D をいろいろ試行錯誤している人間としては、実に興味深いものがありました。
ところで、この映画の正しい鑑賞態度は何かと考えると、それはその映像美をのみ堪能するであり、ストーリー的なことは一切考えちゃダメです。
さもないと、かなり強い釈然としない感に襲われるから。
ペルシャ帝国がおこなったギリシア諸国への侵攻と、アメリカがおこなったイラク(昔ペルシャ帝国があった地では?)での行為はどこがどう違うのかねぇ? とか。
ぶっちゃけ、オマエが言うなメリケン野郎、と言いたい気持ちを抑えることができなくなります。
製作者サイドとしては、実は政治的な意図は全くの慮外で、ただ単にR-15な血みどろ残虐シーンを観客に見せつけたかっただけなのかも知れないけどさ。
ただ、映像的な面にも問題がないわけではありません。
スパルタがペルシャを蹴散らす場面とか、兵士同士のぶつかり合いとか、犀の突進とか、まさに映画の見せ場ともいうべき迫力あるシーンに限って、真正面からとか真横からとか、単調極まりない構図なのが、どうもなぁ。
おそらくこれは「シン・シティ」同様、原作の構図を忠実に再現しようとした結果なんだろうけど、コミックの構図を映画にそのまま持ってくるのも、それはどうかと思うわけです。
あと、「マトリックス」もどきの通常速度とスローの併用も今さら感高し。
まぁそれはさておき。
何はなくともエンドロール。これは必見! 見て損なし。