呪怨 パンデミック
2007/09/05 20:31 - さ・ざ行
本ブログでは、各種「呪怨」作品を以下のように略記します。
- 「呪怨(ビデオシネマ版)」を『V1』
- 「呪怨2(ビデオシネマ版)」を『V2』
- 両者を併せて『ビデオ版』
- 「呪怨 劇場版」を『日1』
- 「呪怨2 劇場版」を『日2』
- 両者を併せて『日本版』
- 「THE JUON 呪怨(The Grudge)」を『グラッジ』
- 「呪怨 パンデミック(The Grudge 2)」を『パンデミック』
- 両者を併せて『ハリウッド版』
で、本稿は『パンデミック』の話。
「呪怨」という映画はリメイクを重ねるごとにドンドン怖さが薄れていくなぁ。
まぁ『日本版』は『ビデオ版』の、『ハリウッド版』は『ビデオ版』と『日本版』の、それぞれの先行作品のパッチワークで、過去作品で提示されたシーンをあまりヒネらずにつないでいるから当然といえば当然だけど。
こんなんだったら『グラッジ』で終わりにしておいた方が良かったんじゃないかなぁ。
『グラッジ』は評価できる作品だったんだが。
でも、もれうけたまわるところによると『ハリウッド版』3の話もあるとか(『ハリウッド版』は三部作で最終作の監督は清水崇ではないそうな)。
このシリーズは晩節を汚してしまったのかもしれません。
とにかく、いきなり冒頭から失望させられました。
フライパンで頭を殴打するシーンのあまりのヌルさに、もう涙目。
私が呪怨シリーズで一番激しい衝撃を受けたのが、この元ネタである『V2』のフライパンで殴打シーンです。
料理に対してウダウダ文句を言う夫。その後ろに音もなく忍び寄る妻。フライパンで夫の頭を思いっきり殴打する妻。昏倒しビクビク痙攣する夫。
これら一連のシーケンスは、ワンカットで撮影されており、実にリアリズムにあふれる、恐ろしくも素晴らしい場面なんですよ。
それがこんなに腑抜けたものになっちゃうなんて。
何でもアメリカ映画における残酷描写規制のためにあんなカット割りになってしまったそうですが、あまりといえばあんまりな劣化に声も出ません。
お、いいな、と思った場面は二つだけ。
病院の廊下で奥から蛍光灯が割れていくシーンとラブホの脹らむ布団。
前者は、蛍光灯の明滅にシンクロして現れたり消えたりする伽椰子のイメージがかなり良い。
後者は、過去シーンにヒネリを加えたことが感じられた唯一のものとして評価できる場面です。
あと過去作品において意味不明だったことが分かった部分もあって、それは良かったかな、とも思います。
『日1』ラストの白塗り奥菜恵とか。
いきなり英語をしゃべり始めるド田舎の婆さんにはあえてツッコみません。 そんなことは瑣末なことに感じられます。 ホラーのくせに怖くないということの方が、より致命的な問題ですよ。
ところで伽椰子の怨念は、致死力の極めて高い接触感染型病原体のメタファーだというのは、『ビデオ版』から観ていれば分かります。
なんでも pandemic という単語は「病気が広い地域で流行する」という意味だとか。
その意味を知ったとき、これはもしかして『ビデオ版』が正統派ホラーからバカホラーに一瞬にしてひっくり返ってしまった、あの『V2』ラストの大増殖シーンをハリウッドクオリティで観られるのかーっ! とおおいに期待したんですが、この映画の結末はそういう方向には進まず実に残念。
まあこの映画の原題は "The Grudge 2" であり、パンデミックというのは日本の配給会社がつけたタイトルに過ぎないから、勝手な期待を抱いた私が悪いんですけどね。
大増殖は『ハリウッド版』3に期待しますか。
参考エントリー
清水崇 監督作品
参考アフィリエイト
『ビデオ版』
- 呪怨
- 呪怨2
- 呪怨 ビデオオリジナル版BOX
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