THE JUON 呪怨
2007/09/06 20:00 - さ・ざ行
やっぱ世の中金だよ金。
ということをイヤというほど見せつけてくれる映画です。
この作品は『日1』のリメイクという位置づけになると思うんですが、良くできてるじゃないすか。
『日1』って何だよ? という方は「呪怨 パンデミック」の冒頭を参照ください。当ブログにおける「呪怨」シリーズの各略記が書いてあります。
ほぼそのまま、唖然とするくらい何のヒネリもなくオリジナルをトレースしているだけなのに怖さが薄れていない。いやむしろ、オリジナルを凌駕している部分もある。
リメイクなんだからオリジナルより優れていなくてどーするというのはもちろんありますが、トレースなのに優れているリメイクというのは、評価に値するんじゃないでしょうか。
- 老婆を覗き込む黒い影とグルンと現れる眼
- 伽椰子が女性を引きずり込んだ後に布団がペシャンコになる様子
- シャワーを浴びている頭を後ろから掴む手
上記のシーンはオリジナルとほとんど同じレイアウトであるにも関わらず、その描写にはCGの導入などの手間がかけられているため、オリジナルに比べ作り物感がかなり薄まっている。 要するにリアルになっているわけですね。 その甲斐あって怖さが増しています。
一方、オリジナルと異なっているために優れた部分もあります。
元々この「呪怨」という映画はまずビデオシリーズとして製作され、人気が出たため劇場版が製作されたという経緯があります。
しかし『日1』の後半部分は『V1』とはかなり変わっています。
おそらく、劇場にかけるのにビデオをトレースするのは如何なものか、ということだったんでしょうが、『V1』ではとても分かりやすかったストーリーが『日1』ではワケわからんものに変貌してしまいました、白塗り奥菜とか。
この『グラッジ』は大まかに言うと、物語の前半部分は『日1』が元ネタですが、後半部分は『V1』が元ネタという構成になっています。
結果的に、ビジュアル的に怖いシーンは『日1』から、伽椰子の怨念の因果がよく分かる物語は『V1』からと、それぞれイイとこ取りになっており、なかなか優れたリメイクになっているんじゃないでしょうか。
とにかく、まとまりのあるシナリオに仕上がっている点はかなりポイント高いです。
『日1』は意味の分からなさが不条理な恐怖になっているわけではなく、本当にただ単に意味不明なだけだったからな。
これはきっとサム・ライミの手柄なんでしょう。
かける予算とプロデューサーの力量で映画はこうも変わるものか、ということを認識させてもらいました。
あと印象に残ったのは音楽の使い方。分かり易く、ってのはハリウッドの信条のひとつなんですかねぇ。怖い場面が来るタイミングを音楽で正確に観客に悟らせようとしますね、ハリウッドは。
でもそんなん大きなお世話。 おかげで心の準備ができちゃって恐怖心が薄まっちまったじゃんかよ。
参考エントリー
清水崇 監督作品
オリジナルトレースなリメイク
参考アフィリエイト
『ビデオ版』
- 呪怨
- 呪怨2
- 呪怨 ビデオオリジナル版BOX
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