「墓場鬼太郎」第2話『夜叉対ドラキュラ四世』雑感
2008/01/21 21:56 - 墓場鬼太郎
第2話は、原作の「下宿屋」「あう時はいつも死人」がひとつの話にまとめられています。
血液感染ネタ不可だからといって、そのあまりにも安直なアレンジにかなりカチンとキた前回でしたが、今回はなかなかイイ感じのシナリオに仕上がっているじゃあないですか。
禿山頭取を巧い具合に「下宿屋」に納めて、ストーリー展開的にはブツ切り感も駆け足感もが出ていない。
今回は、やったねシナリオライター! てな感じですね。見事な手腕と言って良いでしょう。
「下宿屋」
「あう時はいつも死人」
所収巻
問題点はありますよ。
アヴァンタイトルで有馬汎が夜叉の墓を探して彷徨うシーンはブツ切りするにもほどがある。
なんでも聞くところによると、マンガのコマ割り的な不連続性を出すという企図のもと、ああいった細切れな編集をしているとか。
でもねー、ムービーにスティルの雰囲気を持ち込むつもりなら、もっと別のアプローチで攻めるべきなんでは?
従来のセルアニメムービーをただ単に細切れにして、飛ばしつなぎなんかしたら、話のつながりが分からなくなるだけでしょうが。だいたいコマ割りでの不連続性を回避するために、マンガでは地の文で説明とか台詞とか入れてるつーの。
せめて、最初から有馬汎の独白をずっと入れてくれれば、これくらい細切れでも物語が分かるのに。
もうひとつ演出面で意味不明なのが、地獄へのドライブ中の上下虹色ブラー効果。
おおかた怪奇性を増すつもりで、あんな効果を入れたんだろうけど、全然不気味でないのが困ったところ。もうムダにホラーテイストを入れるのはやめましょうよ。
そういった意味ではガイコツ節も削除していいでしょ。下宿屋の玄関先でバイオリン弾いてるなんて頭悪過ぎ。
ドラキュラ四世がロウソクすり抜けるシーケンスもいらん。
でも今回はそのダメな点をおぎなってあまりあるステキ場面がたくさんあって、なかなか良かったですよ。
まずは鬼太郎親子とねずみ男の初対面シーン。ここは「おかしな奴」バージョンが採用されているわけですが、こっちの方が「下宿屋」バージョンよりも、後々の腐れ縁を予感させるし、ユーモアが多分に含まれているしで、とってもよろしい。
今後の伏線なんでしょう。「ちゃんちゃんこを研究させろ」というセリフもポイント高し。
そして、夜叉対ドラキュラ四世の決闘シーンがある程度の長さで描かれていて溜飲が下がる。
原作だと「どたばた」を含めて4コマで団子になっちゃったからなぁ。
そして絵的な部分は全く文句のつけようがないくらい、今回も神レベルの出来。
特に夜叉の細かさが素晴らしい。 髪の揺らめきをモーフィングで処理しているのはご愛敬ってことで。
それにしても気になるのは、ラストで、鬼太郎を殴り倒してねずみ男が手に入れた札束の行方。
次回予告で寝子や永井だけでなく、物の怪まで出ていたよなぁ。
この金で蛇ヶ島の百姓家を手に入れるんだろうか。
ってことはまさかナンダカ族がはしょられるんじゃぁなかろうなあ。
ナンダカ族は夜話編で一番面白いエピソードなんだけどなぁ。
いずれにしてもシナリオアレンジに期待と不安を共に抱きながら第3話を楽しみに待ちましょう。