モーションタイポ再び (1)
2008/02/15 23:20 - AS3.0
先だって「1ランク上の技を身につけるFlashの強化書」という本を買いました。その中にモーションタイポものがあったのです。
はるか昔の Flash 5 時代から、デザイン誌の連載記事やサンプル集など多くのモーションタイポものを見、また、実際にいくつかのモーションタイポ作品を作ってきた私としては、その記事を読んでハタと考えてしまいました。
静止テキストに文章を打ち込んで、分解して、バラバラになった文字をひとつずつムービークリップに変換する。
個人的には実にまどろっこしく感じるこの手法が、Flash のバージョンが 9 となり、ActionScript のバージョンが 3 になった現在でも生きているんだなぁ、と。
文字のモーションをフレームアニメーションではなくスクリプトアニメーションで実現しているという点が進化といえば進化でしょうか。
記事本文ではその点について以下のように謳っています。
これ(タイポのモーション:引用者注)をモーショントゥイーンで制作すると(中略)リテイクや修正が発生した場合、すべてのムービークリップを個別に変更しないといけないため、制作や修正に時間がかかってしまう。
そこで、これらの動きや管理を ActionScript で設定し、(中略)制作効率のよいタイポグラフィックを作ってみよう。(P98)
でも表示されるテキストを変えたいと思ったら、再び静止テキストに文章打ち込んで、分解して、一文字ずつムービークリップにするという処理を踏むんですよねぇ? そのステップがはたして「制作効率がよい」範疇と捉えるか否かは、個人の見解の相違と呼べるレベルのものなんでしょうか。
また P56 にもモーションタイポの記事がありますが、こちらはモーションも昔ながらのフレームトゥイーン。「タイミングをずらすテク」も 2002年発行の「FLASH&インターフェイスデザインのネタ帳」にあるサンプルと同じ。
ドッグイヤーなコンピュータ業界で6年も変わらないとは、シーラカンスやカブトガニも驚愕のテクニックですね。
かつてのサンプル集はホビー向けだったように思います。
それゆえか、まず第一の目標は、効率の向上というよりもむしろ、コードのシェイプアップすることで再利用性、あるいは改良の容易さが高まり、その結果、長期的視点で見ると効率アップにつながる、というものであったような印象を持っています。
あくまでも個人的な印象ですよ。実態はそういったサンプルばかりを選択的に私は注視してきたということでしょう。
翻ってこの本。 何がビックリって、新規シンボルからボタン作成するプロセスで一つの記事になってるんですが…… しかも AS2 って……
これが1ランク上の技ってことは、この本のターゲットの人たちのレベルって一体?
おそらく、生業として WEB 業界に籍を置く人で Flash を扱い始めて間がない、もしくはこれから始めようという人々が対象と推察されます。
そしてこの本の趣旨は、短期的な効率の向上が最重要課題であり、再利用などは前提としていないものらしい、という印象を受けました。あくまでも個人的な印象ですよ。
外部クラスよりもフレームへのコード記述の、AS3 使用よりも AS2 使用のサンプルが多いのはそれが原因なんだろうと思います。業務として発生する案件はまだまだ AS2 がメインでしょうしね。
この本の趣旨、ってのはちょっと拡大解釈し過ぎですかねー。 でも「Flash 再入門」とか見るとそういった印象を受けます。
その一方で「しゃべったー」や「インパネQ」「Web サービスと組み合わせた天気情報」などといったウルテクも解説されていて、頭の中がクエスチョンマークで充満してしまいますよ。
この本は何かちぐはぐな感じですね。地に足が着いていないというか。
まぁ、日々数多くの案件をこなす WEB 業界人を対象としたものなら、効率最重視の態度は100%正しいんでしょう。
しかし個人的な趣味で Flash を弄っているという外野なポジションの私としては、作成効率を考えることなしに、コードのエレガンスさとか再利用性のしやすさとか、そういった面に目を向けています(成果物のレベルはまだまだですが)。
かつて、このブログでもモーションタイポの開発についてエントリーしたことがありますが、あれは複数行テキストや Leading、letterSpacing に対応できていませんでした。
このあたりを解決したモーションタイポエンジンに今一度チャレンジしたいなぁ、と思い始めた今日この頃。
LiveDocs の flash.text.TextField のページを読んでみたら、AS3 になってかなりメソッドが増えていることを知りました。
てなワケで土台からモーションタイポを作り直してみようかと思います。
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