仮面ライダー THE FIRST
2008/03/13 22:46 - か・が行
話の整合性のなさとか設定の杜撰さとかテンポやエピソードの尺の取り方の悪さとか、思った以上に脚本面での粗が多くてビックリしました。
ジャリ番(差別的な意味合いで使っているわけではありませんよ)なら、ストーリー上の細かい整合性や設定などは二の次三の次でいいでしょうよ。ターゲットである子供たちを如何にワクワクさせるかが至上命題なんだから。その場のノリと勢いで強引に攻めまくるのが正攻法というもの。
でもこの映画の主なターゲットは、過去TVシリーズで本郷猛や一文字隼人の仮面ライダーを見ていた世代と見受けました。だったらもうちょっとマトモなシナリオにしといた方がいいんじゃないですかね。
ショッカー幹部たちの会話の中で、改造人間は定期的に血液を交換しないと拒絶反応を起こして死ぬ、って言ってませんでした? 一文字隼人は拒絶反応に苦しんでいたけど死にはしませんでしたよ?
蜘蛛男爆発しましたよね? でもその後、重病人をスカウトに来ましたよ? 原作ではTVシリーズと違って、改造人間の爆発は死じゃないんですか?
水の結晶などというトンデモなネタで、しかもあんなに簡単に洗脳が解けるのもいいかげん過ぎるし、隼人の裏切りもモチベーション弱過ぎでしょう。
あと、ウェンツの尺が長過ぎる。 「ショッカー怪人」にも三分の理ってのを表現したかったのかも知れないけれど、「ショッカー組織」にも三分の理を描いているわけじゃないから、観客に複雑な思いを抱かせるエピソードとして成立しているとは言い難い。
聞けばこの映画は、TVシリーズ「仮面ライダー」のリメイクではなく、石ノ森章太郎のマンガ作品「仮面ライダー」の初映像化作品である、というスタンスとのこと。
私、原作マンガ読んだことないんですが、こういうのってマンガにそもそも描かれている項目なんでしょうか。
それと、今述べたように原作マンガ読んでいないんで、あえて的外れなこと言いますが、女の改造人間で顔の下半分が露出しているんなら、蛇じゃなくて蜂だろ! って強く思いました(聞くところによると、原作では蛇女が出てくるとか)。
お話し的な面では、これじゃあなぁ、という印象を抱いたんですが、全体に流れるダークな雰囲気にはなかなか惹きつけられました。
特に三連ディスプレイで寡頭政治を敷くショッカー幹部という絵づらがめちゃくちゃカッコいいですね。
死神博士はファンサービスってことなので置いておくとして、残りの二人は外見的にはごく普通の人で、表社会で職業を持った人という設定に、おお、と思いました。
TVシリーズのショッカーは人間社会からは遊離した組織、浮世離れした非現実的な組織という印象でしたが、この映画では日常生活に深く食い入っている組織、生々しいリアルっぽい組織という感じが漂ってきて、なんだかとっても燃えました。
そしてアクションがヤバすぎる。2号ライダーの足技には目を奪われましたよ。
たしか1号と初めて対峙するところだったと思うけど、高速道路の橋梁みたいな場所での戦闘で、片足立ちで5連くらい蹴りを繰り出してましたね。かっきー。
エンドロールを見ていたら、2号のスーツアクターはマーク武蔵とクレジットされていました。 「キューティーハニー THE LIVE」でパンサークローの幹部デューク渡として切れの鋭いアクションを繰り出してた人ですね。
この設定とアクションだけでなんか元が取れたような気がします。