ジャンパー
2008/04/03 23:59 - さ・ざ行
この映画は、ストーリーなんかどうでも良くて、そのビジュアルを大いに堪能すべきものとして作られたんである。
そういう類のものだろうと思って観に行ったんですが、想像以上にシナリオがカスで愕然としました。
何だよあの母親は。 主人公が危機を脱するためだけに設定されたご都合主義のキャラじゃんか。 ラストーンで、お、ここで回収するのかな、と思ったら、チープにも程があるエピソードで卒倒しかけましたよ。 結局、デウス・エクス・マキナだったわけですか。実に困ったもんです。
ジャンパーを狩る理由も、社会秩序を乱すからでいいじゃん。ハンターはFBIの特殊部局あたりの設定で。
なんでテレポーテーション能力は主のみが許される御業であり、ジャンパーはその存在自体が許されないなんて狂信者集団にするのか。
まぁたしかに
それでもVFXがイケてるんならまだ許せますよ。
でもねえ、これってどうなのかねぇ…… という出来でしょんぼり。
テレポーテーションによるジャンプCGは、なかなかユニークで良くできたものだと思いますよ。 そして、ジャンプ能力を使用しているシーンすべてにそのCGを使っていたとしたら、作り手のこだわりに感銘を受けたことでしょう。もしそうなっていたら絶賛したかも知れない。
でもフィルムの単純なカット&ペーストによる編集だけでジャンプを表現している場面がかなりあり、これは如何なものかと苦言を呈せざるを得ない。
低予算映画やインディペンデンス映画ならそれでもいいでしょうよ。 てゆうか、むしろ賞賛の対象になるかも知れない。これぞ編集の極みということで。
でも目も眩むような予算をつぎ込むハリウッド映画でそれは許されることではないと思います。
何でもかんでもCGな昨今のハリウッド映画ということを考えると、これはかなりの減点になるんじゃないですかね。ぶっちゃけ拍子抜け。
とにかく作り手の覚悟というものが全く伝わってこない凡作。この一言に尽きる映画でしょう。