『08 TDC展』、『コレクションの新地平』その他
2008/04/13 01:40 - アート巡り
今日… というかもう昨日(2008年4月12日)ですか。
銀座と東京へ展覧会を見に行ってきました。

まず、銀座はギンザ・グラフィック・ギャラリーの『08 TDC展』(開催期間:2008年4月4日(金)~26日(土))。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)といえば、大日本印刷(株)がグラフィックデザイン専門のギャラリーとして銀座にオープンしたアートスペース。私のような薄いタイポファンですら知っている、とても高名なギャラリーです。
その ggg で今、東京タイプディレクターズクラブが主催する国際的なコンペティション「東京TDC賞」2008の入賞作品を展示する『08 TDC展』が開催されているということなので行ってきました。
この展覧会のオレ的収穫は以下の作品。
「A-POC INSIDE」(佐藤雅彦とユーフラテス)
いやービックリしました、これは。目と心が奪われた思いです。
佐藤雅彦といえば「ポリンキー、ポリンキー」の CM や、PS用アクションパズルゲーム「I.Q」などで有名な CM プランナーの人だと思っていたら、今はメディアアーティストの人なんですね。「ピタゴラ装置」もこの人なのか。
「A-POC INSIDE」は三宅一生の2007年パリコレ用の映像だそうで、ニューヨークADC賞金賞も受賞した作品だとか。
この Swf みたいな、とても少ないセンサーによるモーションキャプチャーのデータを使ったモーションタイポムービー。
現物はここで見られます。左側に表示されるメニューの一番上、Contents: の A-POC INSIDE の Animation をクリックすると始まります。
02:50 付近の、モーションキャプチャーデータが女性のものから男性のものへトゥイーンする部分に特に強く惹かれました。
その後に続く、横に歩いている人がいつの間にか、車窓から見えるような流れる風景のような動きになって、そこを犬が駆け抜けるシーンも驚かされました。
実に良かったです。
次は銀座から東京駅まで歩きます。

ブリヂストン美術館の『コレクションの新地平 20世紀美術の息吹』(開催期間:2008年2月9日(土)~2008年4月13日(日))。
お目当ては白髪一雄の「観音普陀落浄土」。
特に思い入れのある画家というわけではないのですが、ずいぶん昔に確か NHK の美術番組(「日曜美術館」ではない)だったと思うんですが、見た記憶があります。
床にキャンバスを置いて、そのキャンバスに油絵の具をぶちまける。キャンバスの上には天井からロープがつり下げられ、そのロープにつかまり、足で絵の具を塗りたくる。
その制作方法のインパクトは実に強烈で、子供心に何かスゲー、と感じたものです。
私が初めて抽象画というものを見たのは、たぶんこのとき。
作家の名前は全然覚えていなかったんですが、つい先日の新聞で訃報を見て、あ、この画家は昔テレビで見た人だ、と記憶が甦ったわけです。
せっかく銀座まで出るんだし、近場であと幾つか展覧会を見たいなぁ、と思って、あちこちネットで探していたら、これがシンクロニシティっていうんですかね、ブリヂストン美術館で開催されている展覧会に白髪一雄作品が展示されるという情報を得たんで、見に行ったわけです。
現物を見て感じたことは、やはりその迫力ですね。
印刷や写真からは窺いづらい、キャンバスに盛り上がる油絵の具の質感が凄かった。
ザオ・ウーキーという画家の「無題」にも目を惹かれました。ようは墨絵なんですが、やはり墨の滲みはイイですねぇ。
あと、デュビュッフェ「暴動」の色の鮮烈さと、フェルナン・レジェ「抽象的コンポジション」の色と構成も素晴らしかった。
各作品はこの展覧会のページで掲載されています。「抽象的コンポジション」は展示作品の1ページ目、「観音普陀落浄土」と「暴動」は2ページ目、「無題」は3ページ目。
この他に、ギャラリー椿の『服部 知佳 展』(開催期間:2008年4月12日(土)~4月26日(土))と、日本橋タカシマヤ6階、美術画廊Xの「王 舒野 展 ─時空の裸視へ─」(開催期間:2008年4月2日(水)~4月22日(火))も見てきました。
前者は、油彩なのにまるでネオンライトが光っているかのようなクリアで美しい色彩に驚嘆しました。
後者は墨絵の滲みや、気の遠くなるような細かいハッチングによるフラクタルな美が良かったです。