紀元前1万年
2008/05/20 21:08 - か・が行
「スターゲイト」で観客の怒りを煽り、「GODZILLA」で観客の失笑を買う。 映像的なスケール感は超大作、でも中身は超小粒。 そんな映画ばっか撮ってるあのローランド・エメリッヒ監督がまたまたヤラかしてくれました。
いや私もね、正確な考証に基づいた映画なんて期待しませんよ、エメヒッリに対して。 エメリッヒだと知っていながら映画館に足を運んだ私が悪いというのは理解してるんです。
だが言おう。
ヘタこいたー。わざわざ映画館にまで行くんじゃなかったー。
剣歯虎の出番あれだけ?
黒人の諸部族の長の、そのまたリーダー格の人の出番もあれだけ?
落とし穴の中での主人公と剣歯虎の出会い。黒人部族に囲まれた主人公を助けに来た剣歯虎。
このふたつは、主人公が黒人たちに認められるために必要なエピソードだというのに、ずいぶんアッサリし過ぎじゃないすかね。
部族長のそのまたリーダーは主人公に対して何の疑いも抱かないんですか? 「キバと話をした者」かどうか確証もない(その現場を見ていない)のに。そんなに同族を信頼してるの?
ここでタイマン勝負になって主人公が勝つか、もしくは、黒人部族全員の目の前で再び剣歯虎が出てくるのがスジってもんでしょう。そしてメンバー全員から長として認められるというのが、自然な流れなんじゃないですかね。
でもまあそんなことは些細なことです。
紀元前1万年なのに後期エジプト文明のような文化が栄えているというのも、この映画が自然ドキュメンタリーや歴史物語ではなく、空想の翼をはためかせ過ぎて空回りしているファンタジーなんだから、取り立てて指摘するに値しません。
しかしですねー。
死を無効にするのは如何なものか。
だいたい、ナレーションに「予言と異なる結果を迎えた(=死んでしまった)」って言わせただろうが!
にもかかわらず、何でそこからご都合主義な甦りを描くかなぁ? まさかあんな展開に観客が感動すると思ってんの?
だったら最初から殺すなよ。ああいうのは茶番劇と言うんです普通。 ミスディレクションじゃなくて詐欺って言うんです。
このラストシーンで今年の最愚劣映画に決定しました。
エメリッヒはもういいかげん、脚本の才能がカケラも無いってことを自覚してくれないだろうか。