ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌
2008/08/05 21:43 - か・が行
脚本といい映像といい造形といい、前作のあまりのやる気のなさに、実写版鬼太郎はたとえ二作目が作られたとして劇場に行くことはあるまいと思っていました。
しかし、とある二人の俳優が妖怪役でキャスティングされるということを知ってからは、これは見てみたいかも、と不覚にもワクワクしてしまい、ついにはフラフラと劇場まで足を運んでしまったのでした。
一人はぬらりひょん役の緒形拳。
一人は井戸仙人役の笹野高史。
緒形拳、今までのキャリアをかなぐり捨てて、よくもこんな仕事請けたよなぁ。
でも実際に映画を観たらば、演技に力が入っていないような気がしないでもない。
「儂ゃ知らん」が良かったからまあいいか。 ビジュアル再現度の高さもグー(鳥山石燕バージョンじゃなくて、水木しげるバージョンのヤツね。公式の「キャラクター&キャスト」のぬらりひょんのページ参照)。
笹野高史というキャスティングを聞いたときは思わず膝を叩いたね。 口元はソックリだぁ、と感じ入る事しきり。
ビジュアル的にこれ以上のキャスティングはあり得ぬと思っていたんですが、実物を見たらちょっとガッカリ。
まぁマンガのビジュアルを特殊メイクで完全再現するなんて不可能だよね。
シナリオは相変わらずぞんざいというかやっつけというか、まぁ酷いもんです。
キャラクターの感情の流れは雑だし、話は展開の辻褄が合ってないんじゃないすかね。
先祖を人間に滅ぼされたことを知った鬼太郎の葛藤はスルーかね。だったらそんなエピソード差し挟むなよ、と言いたい。
でも今回の脚本家は前回に比べるとはるかに鬼太郎や妖怪に対する愛を感じます。
『まぼろしの汽車』や『朝鮮魔法』から引用した小ネタはちょっと気に入った。
鬼道衆は「新編」からの引用ですね。ああそうか、だから濡女は元は人魚だったのか。 あと、砂かけを襲った縄文土偶軍団も「新編」に出てきたような。
ぬらりひょんのキャラ設定は「最新版」。 岩子という名前は「地獄編」だったかな。
そんな具合に、各種設定は鬼太郎サーガの新旧からいろいろと取り入れられてます。
そしてキャラクターとしての妖怪設計もけっこう、おっ、てな感じ。
文車妖妃を妖怪図書館の司書に据えるとは、目の付け所が卓越してる。 センス良いなぁと感心しました。
あぁこの使い方はもったいないなぁ、と思ったのは
コミックサーガ的に覚は鬼太郎と敵対したことがないけれど、敵に回すとかなり厄介な相手というのは民話からも容易に想像がつこうというもの。
現に中々の強敵っぷりを示していたのにあんなあっさり殺すなんて、シナリオ的にダメ過ぎる。 だいたい何で夜叉の前じゃ覚の特殊能力は発現しないのかね?
がしゃどくろのデザインもけっこうイイね。
一体の巨大な骸骨ではなく、無数の人骨が組み合わさって一つの形態をなしているというのは、怨念の強さを感じさせる。
まぁそんなことはともかくとして、今回も猫ちゃん@田中麗奈のキレの鈍い踊りが見られたので良しとしますかね。