ActionScript の行く末を想う
2008/08/20 21:41 - AS3.0
先だって六本木でおこなわれた「Flash OOP Japan イベント 2008」に参加した者としては、ネガティブな意味でタイムリーかつビッグなニュースが舞い込んできて困惑中。
どんなニュースかって? もちろん ECMAScript 4 の訃報ですよ。
イベントの第4部は、AS2 から AS3 に鞍替えすべきなのか、今後の AS3 はどうなるのかといった、AS3 の将来に関わる質疑と応答のコーナーでした。
その際「今後近い将来 AS3 の仕様が大きく変更する可能性」についての質問が出たのです。
それに対してパネラーのひとりである野中文雄先生は以下のように仰ってました。
- AS3 は ECMAScript 4 という標準化仕様に準拠した言語である
- AS2 は独自仕様色が強い言語であった
- AS2 から AS3 への大々的な仕様変更は「大改造!!劇的ビフォーアフター」で匠がリフォームしたようなものであり、間を置かずに再びリフォームするんでは匠の意味がない
- AS3 からの大々的な仕様変更は、近い未来には発生しないであろうと予想する
メモ取っていなかったんで記憶に頼って書いています。取り間違えている部分があったらご容赦を。
FlashPlayer10 で ネイティブ 3D とか Vector とかが追加されたような強化はおこなわれるだろうけど、AS2 から AS3 へのような大規模な言語の仕様変更はないだろう、と私も思います。
そうそう大変動してたら言語としての信頼性を失いますしね。 それに今後のイニシアチブをとるために、標準化仕様に準拠させたんでしょうし。
しかし! しかしです!
肝心の ECMAScript 4 そのものがお亡くなりになってしまうとは!
準拠対象を失った ActionScript は果たしてどうなってしまうんでしょうか?
何でも聞けば、ECMAScript 4 は破棄され、代わりに ECMAScript 3.1 というのが仕様になるとのこと。 そして、ECMAScript 3.1 は ECMAScript 4 に比べ、かなりシンプルであるという。
また ECMAScript 4 では組み込まれていた以下の三つは今後永遠に日の目を見ることはないとか。
- パッケージ
- 名前空間
- アーリーバインディング
基底を成す言語仕様にまで頭が回らないローテクコーダーのワタクシとしては、名前空間とかアーリーバインディングとか言われても全然ピンとこないんですが、パッケージの消失にだけはものすごくヤバげな予感がします。
パッケージがなくなるってことは現行 ActionScript 3.0 でおこなっている、display や geom、events、text みたいなクラスの分類整理ができなくなるってことですよね?
例えるなら、今後コンピュータはディレクトリ使用不可、ファイルのセーブは D ドライブ直下にだけオケ、って言われているのと同じことなんじゃないかと理解しました。
もしそうなら、チョー不便なんですが……
まぁしかし ECMAScript 4 死亡に係る今後について Adobe から公式なアナウンスが一切出ていないので、暗澹たる気分のまま、続報を待つしか我々にはなすすべがないわけです。
今後のシナリオとしては無限の可能性がありますが、以下の二つが両極端になるんでしょうか。
- 独自仕様で突っ走る
- ECMAScript 3.1 準拠にダウングレード
まぁ Adobe 的にはこの範囲の中で落とし所を探すんじゃないかと思うんですが、どっちに転んでも分のない勝負。 まるで帆場暎一の犯罪の前にただ立ちつくす特車二課のようです。
参考
- ECMAScript Harmony/ES3.1 と ActionScript
- ECMAScript Harmony 日本語訳 (via:てっく煮ブログ)
- その他いろいろなブログ