サウンド・オブ・サンダー
2006/04/03 21:43 - さ・ざ行
6500万年前のたった1頭の蝶(つーか蛾)が、現代を原始状態に変えるほどの大変動を発生させるなんて。 「バタフライ・エフェクト」とはまさにこの事。
過去に起こした変化の影響が、まるで石を水に投げたときにできる波紋のように時間の波として現在に押し寄せる。
さすがSF界の詩人と言われるレイ・ブラッドベリだけあって、なかなかリリカルなイメージですね。
その美しいイメージは良かったけれど、それ以外はあまりの酷さに驚愕しました。
まずCGが酷い。
CGなのにミニチュアセットに見えたり、人物との合成画面が荒かったりと、まるで何十年も前の特撮映画を観てるよう。
次にデザイン。
町並みはまだいいとして、車、特にタクシーの形状がレトロフューチャーにも程がある。いまさらシド・ミードってのもなぁ……
そしてストーリーがなんか釈然としない。
過去を変えてしまい進化の波を受けている時空間をA、そのA時空間のライヤー博士によって過去を変えることを免れた時空間をBとします。
観客的にはAの時空間のその後が気になるわけですよ、今までその時空間のキャラクターたちと同一化していたんですから。
白い変な動物になってしまったソニア博士はどうなったんだ、とか、シカゴは元に戻ったのか、とか、非常に気になる。
ところが映画ではAとBの接点から、視点はBに移ったまま結末を迎えるわけです。
これじゃ胸のモヤモヤが晴れません。
原作を読んでないので、原作者の過ちなのか、脚本家の罪なのか、監督の咎なのかは分からないけど。
ところでこのタイトルは、原作ではちゃんと意味があるんですかね。 映画の中では、時間の波の第一波が来るときにちょこっと雷鳴が轟いただけだったんだけれども。
恐竜の咆吼の比喩とか言われても納得しませんよ。そんなんわざわざ題名にするほどのものんじゃないんだから。
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