『平成20年度(第12回)文化庁メディア芸術祭』
2009/02/15 19:28 - アート巡り

火曜日のリベンジを果たして参りました。
昨日(2009年2月14日)、やっとこさ文化庁メディア芸術祭を体験できました。

現地到着時間は13時20分頃のこと。京浜急行が二重にトラブりやがって到着が遅れました。 ちなみに京急は帰りにもトラブルにかち合って帰宅が遅れましたよ、まったく。
ま、それはともかく、会期終了間際だし、えらい人気らしいしで、こりゃ入場制限くらうかなぁ~と覚悟してたんだけどすんなり入れて良かった良かった。でも中は巡回路通りに見るのは不可能な混み具合でちょっとゲンナリ。
でも私は運が良かったようです。 1時間くらい見て出たところ、入場制限で人の列がずらっと続いていましたよ。あぶねー。
で、展示物を見て感じたことを徒然なるままに。
諸星大二郎サイコー!
マンガ部門優秀賞受賞作品「栞と紙魚子」諸星大二郎の生原稿に萌えた!
マンガ部門の展示って何やるんだろうなぁ、と思っていたら生原稿が展示されていたとは嬉しい誤算。
「栞と紙魚子」シリーズ最新刊「栞と紙魚子の百物語」カバーのカラー原稿1枚、表題作扉のモノクロ原稿1枚、都合2点が展示されていました。
カラー原稿の繊細な筆致には感動。 またモノクロベタは墨と筆で塗られたものであるということを確認しました。
かつて手塚治虫だったかが諸星大二郎のベタは筆で塗りつぶしたものではなくペンで書きつぶしたものということを言っていて、昔の諸星作品は誇張でなく、本当に筆ではなくペンでカリカリ書きつぶしたようなベタだったんです。 年と共に筆力が落ちてきたようで、ペンによる線の量が著しく減っていたわけですが、それが実感できました。
このためだけでもこの展覧会に行った甲斐があったというもの。
パクリの出現に驚く
アート部門(静止画)の審査委員会推薦作品に、JoJo 第四部のヘブンズ・ドアーのパクリが登場。 審査員の中に JoJo 知ってる人間が一人もいなかったのかね。
岸辺露伴のヘブンズドアーといえばルーブル美術館で現在開催中の「小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルを」という企画展で展示もされているというのに。
公式プレスリリース PDF の最終ページで展示作品が見られます。 この件についてはコミック・ナタリーなるサイトでもエントリーあり。こちらは展示の様子が見られます。
原稿用紙展示の代替となるか
アート部門(インスタレーション・その他)の審査委員会推薦作品『タイプトレース道~舞城王太郎之巻』に、未来における小説家の展覧会の
内容はというと、舞城王太郎執筆時のタイピングの様子をトレースし、再生したもの。 入力速度や打ち間違い、どこで滑らかに入力したのかどこで滞ったかなどなど執筆のプロセスを追体験できるインスタレーション。
ワタクシ舞城王太郎は「阿修羅ガール」読んで気持ち悪くなって以来読む気がしない作家なんですが、ファンにとっては垂涎のインスタレーションですね。
かつて小説家の展覧会といえば原稿用紙の展示は当たり前でした。 原稿用紙を見ることで、その作品の制作過程が一目瞭然、追体験を夢想したわけですが、ワープロソフトを使う現代作家の作品ではそのようなことは不可能。
未来における小説家の展覧会では、かつての原稿用紙展示のようにこのシステムが展示されるのではないか、そんな妄想の翼が広がりました。
『タイプトレース道~舞城王太郎之巻』の映像(eyeVio)
ActionScripter の技術力の高さを再認識する
最後に ActionScript メインのブログらしいことも述べないとね。
「先端技術ショーケース'09(科学技術振興機構のPDF)」というブースに三番目の展示物として「自己と向き合う技術-拡張する影との共創表現」というテーマで『Shadow awareness』というインスタレーションがありました。
これを見て、WonderFl って場はスゴいなぁ、またそこに投稿している ActionScript 技術者のレベルの高さもスゴいなぁということを改めて感じた次第。
展示物の実装手段はサーモカメラとか使ってかなり大がかりだし、WonderFl 投稿作品よりも表現の幅はたしかに広い。 でも作品の表現内容的には WonderFl に投稿された以下のものも遜色がないレベルですよ。 いや、むしろ大学の研究室で大勢が寄って集って作った Shadow awareness よりも、一人で作った WonderFl 投稿作品の方がポテンシャル高いんじゃないかと愚考します。
ActionScript 的な実装の基礎テクニックとしては以下のもの。
で、その基礎テクニックをアート表現に昇華させた作品はこれ。
ウェブカムさえあれば何時でも何処でも体験できるこれらの ActionScript 作品の素晴らしさは相当高度なものなんじゃないでしょうか。