鴨川ホルモー
2009/05/02 19:49 - か・が行
栗山千明が新境地だってんで、それだけを目当てに観に行きました。
愛だの恋だのに大げさに一喜一憂、バカバカしいことに全力入魂。そんな青春。嗚呼青春。
そういった若気の至りを肯定的に描こうとしている意図はわかるんです。
早良を想う安倍の心の振幅の大きさとか、ちょっとツンデレ入った楠木の安倍を想う屈折気味な感情とか、青春時代の男女関係絡みのエピソードは甘酸っぱい疼きを思い起こさせていただきました。
でも、バカ部門がまったくなっちゃねぇのが致命傷。
ゲロンチョリーなどという喃語的なかけ声や、尻を突き出すポージングは、幼稚園児や小学生低学年なら大喜びでしょうが、それ以上の年齢の人々にはキツいんじゃないですか? 劇場では失笑が起きてたぞ。
くだらないのは大歓迎だけど、幼稚なのはいただけませんね。
でもまぁ、山田孝之、石田卓也といったイケメンや、栗山千明、芦名星といった美人、その他、前途有望な若手俳優諸氏にこんな幼稚なことを真剣にさせた、という意味では特筆すべき映画かも知れん。
その他、民俗学的興味から感じたことをつらつらと。
龍谷大学フェニックスという名称の件。
旗には「朱雀団」って書いてあったようだし、他の四神は玄武組、白虎隊、青龍会と漢字なんだけど、何で朱雀だけ英語なのかね。
今も息づいている古代からの伝統だけど、それは今現在を生きている人間が引き継いでいるってことを表現するために英語にしたのかな。
式神のエリクサーがレーズンの件。
古代から日本に息づく伝統とカタカナ名称の欧風な食品、そんなギャップを面白がらせたいという意図なんだろうか。
虚構ってのは、事実に裏打ちされたものがあると俄然リアリティが増すわけですが、そういうことならチーズの方が相応しいような気がするなぁ。 チーズは栄養価の高い食品だし、保存食という側面もある。 そして蘇や醍醐といって古代から実際に日本に存在した食品だしね。
それとも、干しぶどうって日本に古代からあったものなのかなぁ。
吉田代替わりの件。
バカ騒ぎと全裸で神の歓心を買うというのは、天の岩戸に通じるものがあるな、と感じた。
「レナウン娘」というのが果たしてベストな選択なのか、というのは論考の余地がありそうだけれど、これも「龍谷大学フェニックス」と同じで、現代に生きる伝統という意味では良い選択なのかも。
まぁ何だかんだ言っても石橋蓮司だよね、この映画の見所は。
いるだけで作品が引き締まる存在感のある役者だからな石橋蓮司は。実にすばらしい。