ひぐらしのなく頃に 誓
2009/05/04 20:30 - は・ば・ぱ・う゛行
なんでも映画公式サイトのイントロダクションによると、原作は<出題編>と<回答編>の二本立てになっており、前作の映画は出題編である『鬼隠し編』の映画化、そして今回の映画は回答編である『罪滅し編』の映画化だという。
そして、イントロダクション1ページ目の最後には、こうも書いてあります。
前作では多くの謎を残したまま、
解決されなかった惨劇を本作では時間を元に戻し、
徐々にその謎を紐解いていく。雛見沢村に隠された秘密とは。
「オヤシロさまの祟り」の真相とは。
「ひぐらしのなく頃に」のシリーズに隠された謎が、
本作品のエンディングで全て明らかにされる―。
いや全然明らかになってないと思うんですけど?
「時間を元に戻し」? えーと『バンテージ・ポイント』や『愛してる、愛してない...』みたいなザッピングではなくて、同一キャラと同一設定を使った全く別の話になってるんですが?
パラレルワールドですか? でも圭一は、以前レナと魅音を殺したこと(前作の内容)を『思い出した』ってことになっていましたが? しかも他人である巫女がそう言ってましたが?
思い出したってことはパラレルワールドではなく前世って設定になりそうだけど、でも時間設定が昭和58年6月と前作と同じになっていた。だとすると同じ時間を何度も繰り返す『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
』パターンってことですか?
ってことは、刑事が杉本哲太から大杉漣に変わっていたのは明確な意図をもってなされた役者交代で、同じ時間が少しずつズレながら、何度も繰り返されていく、ってことを表現しているのか。
「オヤシロさまの祟りの真相」って、あれが真相なんですか? 鷹野三四のスクラップブックに書かれていた、喉を掻きむしって死に至る・引っ掻き傷から蛆が湧く理由が真実だとする根拠は? だいたい三四の死亡推定時刻の齟齬が説明されてないし、前作のラスト近くで映画内時間的には死んでいるはずの三四が佇んでいた描写があったってことは、あのスクラップブックの内容が三四の虚偽という可能性が完全排除できないと思うんですが?
小此木造園もその正体は自衛隊の特殊部隊っぽいけど、いまひとつよくわからん。
オヤシロサマの祟りの正体、最後に起きた大災害、小此木造園の正体と思われるもの。 これらからすると SF ってことでいいのかね? だとするとかなり安直な物語設定になりそうなんですが……
どうやら実写映画はこれで終わりのような雰囲気漂いまくりですが、謎が放置されたままというのは、実に心がモヤモヤして不快なものです。
仕方ないんで、もうアニメを見ることにしましたよ。
アニメはいくつかの「編」に分かれているけど、けっこうな長さになっているから、この原作の世界観が見えてくるでしょう。
なーんて実はアニメ全部見ても、たとえ原作ゲームをプレイしたとしても、世界観が分からないような悪寒がするけどな。
正解率1%なんて大嘘こんこんちきじゃないのかなぁ?
たぶん作者は原作でも伏線を緻密に張ってないし、ストーリーを練りこんでもいないという印象を受けました映画を見る限り。 種明かしをされても、そんなの分かるかい! とか、伏線回収されてないだろ! とか、話の筋に矛盾があるじゃん! とか、そういうことになりそうな気がする。
実はその場のノリでエピソードの断片をつなげているだけで、整合性の取れた物語は「ひぐらしのなく頃に」という作品には存在していない。そんなオチでは。
この作品は物語性うんぬんを語ってはいけないものなのかも知れませんね。 というわけでこれ以上物語に触れるのはやめておきます。
映像的に特筆すべきは、前作でも触れましたが、やっぱ美しい光景でしょう。 今作では、映画公式サイトの最初に流れるトレーラーの一番最初のカットで写る野原の中の道が実に美しい。
そして役者的には大杉漣ですよ。
主役の若手たちが拙い分、重厚な演技ができる名優が脇を固めるのはアイドル映画のセオリーです。 川原亜矢子も良かったですが、なんと言っても今作では大杉漣。
大杉漣がいるからこの映画、辛うじて見られるものになってると思うんですよね。
杉本哲太も悪くなかったけど、大杉漣になって映画がさらに引き締まったと感じます。
ってゆーかもし大杉漣じゃなかったら、どんだけ悲惨な出来になっていたんだろう。そう考えるとちょっと恐ろしいですね。