新宿インシデント
2009/05/22 22:36 - さ・ざ行
階段を転げ落ちたり、下水に流されたりといったレベルのアクションのみ。
あの
この映画で描写されていた、密入国中国人の日本における生活に、どの程度の真実が反映されているのか私は知りません。
ゴミ捨て場や下水溝での過酷な労働や、置き引き・万引き、やがては裏社会で生きていかざるを得なくなる彼らが描かれる舞台は、現代日本の上野アメ横や新宿歌舞伎町繁華街、あるいは大久保駅周辺といった場所でした。 それらの場所は私にとっても馴染みのある場所であり、そのせいか、強い真実味が感じられました。
『この映画は、中国がまだ貧しかった1990年代を舞台としているが、2000年代を迎えた現在、中国も大きな国力を持ち、こういうことも少なくなった』的な意味の文面がエンドロール前に表示されました。
たしかに、この映画の冒頭に描かれたような、ボロボロに錆びついた船で新潟県や福井県、富山県といった日本海側沿岸に乗り上げる決死の密入国はなくなったのでしょう。
とはいえ、まだまだ日本には正規のルートによらず入国する中国人が多いということは、警視庁24時的なタイトルのテレビドキュメント番組で見ることがあります。中国人売春婦摘発とか。
この映画に描かれた時代である1990年代よりもむしろ、そういった今現在私が生きている2000年代と重ね合わせて観てしまいました私は。
中国人にとってまだまだ日本は金を稼げる国なのかなぁ、だいぶ国力は衰えていると思うんだけどなぁ、とか。
まぁ辛気臭い話はこれくらいにして。
成龍の幼馴染役の女優が地味な感じだけどエラい美人だなぁ、と思っていたら、中華女優四天王のひとりだったんですね。
四小名旦って言葉は聞いたことあったけど、
あと竹中直人演じる刑事と成龍演じる鉄頭との関係を見ていて感じたのは、中国人と日本人のメンタリティはずいぶん違うなぁということ。
正義の番人である刑事と、黒社会に身を置く密入国者。
社会的立場のある者と日陰者。
しかし、命を助けられた刑事は、命の恩人に対し、己の社会的立場を顧みず便宜を図り、時には命を危険にさらしてまでも恩を果たそうとする。
日本人的心性としては、ここまで援助を尽くすことはないんじゃないのかなあ、という想いを抱きました。
三国志や水滸伝、あるいは近年なら金庸の小説といった中華武侠の精神をあらためて見せてもらった感じです。
物語の切ない終わり方も武侠って感じで、実に印象に残る作品でした。