『池田亮司 +/-[the infinite between 0 and 1]』
2009/06/13 21:10 - アート巡り
今日は東京都現代美術館へ行って、『池田亮司 +/-[the infinite between 0 and 1]』展を見てきました。
![池田亮司 +/-[the infinite between 0 and 1]](http://blog-imgs-31.fc2.com/a/q/u/aquioux/20090613-001.jpg)

その会場は、1階の黒い空間と地階の白い空間に分かれており、展示作品が対応するように配置されています。
躍動するブラックキューブと静謐なホワイトキューブというその対比に惚れました。いやーカッコよかったです。
1階でまず最初に置かれた作品は、目に見えないくらい小さな数字がギッシリと刻印された正方形の広い盤面。
先だって見た日曜美術館のアートシーンによれば、単なる羅列ではなく「π」だとか。
で、それに対応する地階の作品は、その外観はまったく同じものですが穿たれた数字が異なっています。
2.71から始まるこの数字の群れは何なんだ? と思って調べてみたら対数の底eとのこと。
よくよく作品名を見てみたらば、それぞれ「π」「e」の文字が入っていますね。
1階で、2番目に配置されているのはプロジェクターから投影された10個の画面です。
それぞれ異なる10個のミニマルな映像シーケンスが延々と続く心地よい時間にしばしウットリ。 私としては三次元的にばらまかれた粒子が動きまくる映像が好み。
しかしこれらは3番目に配置された、これまたプロジェクターから投影された超大型映像と連動しており、定期的にその永遠が断ち切られます。
いつぞや ggg でおこなわれた『NOW UPDATING… THA/中村勇吾のインタラクティブデザイン』の地階での時報を思い浮かべていただくと分かりやすいでしょう。
NOW UPDATING... from THA on Vimeo.
この定期的な断絶で表示される複数の映像シーケンスのうち、最後の映像が圧巻。 3×5のピクセルから成り立つ飾り気のない数字が広い広い広ーい壁面を埋め尽くすものなんですが、数字の洪水といった感じで、ぼーっと見てるだけで気持ちよくなってくる。エンドルフィン出まくりって感じ。
地階の2番目の作品は10個の黒い正方形。その数も配置のされ方も、やはり1階に対応しています。
その黒い正方形は何かというと、それぞれの階の1番目に置かれていた作品と同じ作りのもの。 1番目の作品は台に置かれ、上を向いている状態でしたが、それらは壁に掛けられた状態です。
ビッシリと刻まれた数字は一体何なんでしょうか。 1階のそれぞれ対応する映像のデータを数値化したものかなぁとか考えましたが、タイトルが違う物なので(1階のは「data.matrix [n°1-10]」、地階のは「the irreducible [n°1-10]」)おそらく無関係でしょう。
地階の3番目は1階と対応していません。 5個の巨大な黒いスピーカーが唸りを発しています。
それぞれから発する音は互いに拮抗するように設計されているとか。 鑑賞者の存在が音波への干渉となり、立つ場所によって聞こえる音が変わります。
作品的には私の好みではないんですが、真っ白い空間に真っ黒い巨大な物体が置かれている、この黒と白の対比が実に心に沁みる。
私、「白地に黒」よりも「黒地に白」の方が自分の好みだと思っていたんですが、この展覧会を見て、実は「白地に黒」の方が好きなんじゃなかろうか、という新しい発見をしました。