人間文化研究機構連携展示『百鬼夜行の世界』 (1) 概要
2009/08/02 22:28 - アート巡り
昨今、怪談ブームで巷間は賑わっていますが(各種怪談本、特に実話系の氾濫状況を見よ)、怪異に対する憧憬は、遙か昔から日本人の心の内に脈々と生き続けてきたもののようですね。
明治期や江戸期にも、現在と同じような怪異ブームというのがあったそうで、これまた現代の怪談本ブームのように、いろいろな書籍が発行されていたようです。
そのあたりについては東雅夫の著作を見るといろいろと分かることでしょう。 オレあの人の実績は認めるけど、あのムダにデコラティブで気障ったらしい文章が暑苦しくて嫌いなんだよなぁ。 でも怪談・怪異といった系統の本で気になる本を見つけると、たいてい彼が絡んでいる。 そのせいで読む気をなくしちゃう。 おかげで最近、そっち系の読書がだいぶおろそかになってしまったよ、って、まぁそれはともかく。
今を去ること1000年以上前、京の都では深夜に鬼や化け物が行列を組んで練り歩く百鬼夜行というものがあり、人々は大いに懼れたとか。
それほどまでに古くから続く日本人の精神性の一面を表す文物として、百鬼夜行を描いた絵巻物の系列があります。
とりわけ有名なのが、室町時代に描かれた「真珠庵本」と呼ばれる伝・土佐光信筆「百鬼夜行絵巻」ですが、その他にもいろいろな親本、異本、写本入り乱れて、「百鬼夜行絵巻」にはいくつかの系統が見られるんだそうです。
国の人文系研究機関では怪異・妖怪についての学際的な研究が以前よりおこなわれてきているそうで、その研究成果や資料の中から選ばれた、百鬼夜行についての展示が平成21年7月18日(土)~8月30日(日)まで、『百鬼夜行の世界』と題しておこなわれています。
主催は大学共同利用研究法人人間文化研究機構に所属する、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)、国文学研究資料館(東京都立川市)、国際日本文化研究センター(京都市西京区)という3つの研究機関で、展示会場はそのうちの2カ所、歴史民俗博物館と国文学研究資料館です。
展示構成的には以下のとおり。
- 第1部「百鬼夜行絵巻の系譜」(国立歴史民俗博物館)
- 第2部「百鬼の素性と展開」(国文学研究資料館)
- 第1章「百鬼夜行絵巻」
- 第2章「百鬼に出会う、避ける」
- 第3章「百鬼の行列」
- 第4章「描き継がれた百鬼」
佐倉に立川かぁ。
私の家からはどちらも2時間強の行程。 しかも佐倉・立川間の行程もほぼ2時間。 1辺が2時間のトライアングルコースだなんて一日じゃ回り切れん、というわけで二日に分けることに決定。 前述した第1部、第2部という知識をあらかじめ得ていなかったので、行き当たりばったりで7月31日に立川、8月1日に佐倉に行ってきました。
次回から、各会場のレポをおこないます。
参考リンク
当展覧会のページ
- 怪異・妖怪伝承データベース(国際日本文化研究センター)