人間文化研究機構連携展示『百鬼夜行の世界』(4) -総括-
2009/08/05 21:09 - アート巡り
さて、国立歴史民俗博物館、そして国文学研究資料館と首都圏近郊の2カ所でおこなわれてた連携展示『百鬼夜行の世界』を全て見終えての感想。
ところで、当ブログで一番多数派な訪問者は Flash 使いの方々でしょうが、そんな皆さまへの情報提供も最後にありますので RSS リーダーからダイレクトにお帰りにならずにお立ち寄りいただけたらこれ幸い。

いやー会場はどっちも遠かったですよー。でも首都圏近郊だっただけ、まだ幸せか。 これがもしこの展覧会の主催の残り一つ、国際日本文化研究センターだったら京都市西京区まで行かなきゃならんところだったからなぁ。 てゆーか京都だったら絶対行けぬ。
ところで、展覧会自体はとても素晴らしいものだったんですが、本来、この展覧会から得られたであろうはずの満足感が、私が犯したリサーチ不足というミスのせいで 100%得られませんでした。
以前も情報仕入れずに現場に出向いて、休館日にぶち当たったり、非道過ぎる展示形態に涙したりと、いろいろ痛い目見たんですが、またもやリサーチ不足でやっちまいました。
繰り返しますが、これは、決してこの連携展示が悪いというのではありませんよ。

そんな私の反省点から、老婆心ながらご注意申し上げますと、連携展示の順番どおり、佐倉、立川の順に見た方が絶対に良いです。
もし立川から先に見る、あるいは立川しか見ないのならば、佐倉の方に百鬼夜行絵巻が数点存在しているということを充分認識したうえで見るべきです。
ここで今一度、この展覧会の全体構成を記します。
- 第1部「百鬼夜行絵巻の系譜」(国立歴史民俗博物館)
- 第2部「百鬼の素性と展開」(国文学研究資料館)
- 第1章「百鬼夜行絵巻」
- 第2章「百鬼に出会う、避ける」
- 第3章「百鬼の行列」
- 第4章「描き継がれた百鬼」
これは本来以下のような章立てになるものだったんだろうと推測します。
- 第1部「百鬼夜行絵巻の系譜」
- 第2部「百鬼の素性と展開」
- 第1章「百鬼に出会う、避ける」
- 第2章「百鬼の行列」
- 第3章「描き継がれた百鬼」
そしてそれぞれ以下のような資料の展示がなされるものだったのだと思います。
- 第1部 百鬼夜行絵巻
- 第2部
- 第1章 随筆等の文献
- 第2章 百鬼夜行絵巻以外の妖怪絵巻
- 第3章 絵本や挿絵など行列から離れた妖怪たちの絵
つまり第1部の会場では「百鬼夜行絵巻」を、第2部の会場では「百鬼夜行絵巻以外の妖怪文献」を展示する構成だったんではないでしょうか。
しかし、この展覧会で主役となるのは「百鬼夜行絵巻」です。主役が片方に偏るのは不公平というもの。 また会場の広さ的にも私が想像する第1部・第2部でキッチリ分けられる感じではありません。
それゆえ妥協案的な感じで、第1部と第2部の第1章が被る構成になっているのではないかと思います。
なんでそんなことを長々と述べるかというと、先に行った立川の方でアンケートを書いたのですが、その際、「『百鬼夜行絵巻』の点数がもっと多ければさらに満足した」という旨の、国文学研究資料館のスタッフの方々に対してたいへん失礼な感想を書いてしまったのです。
「百鬼夜行絵巻」の点数が少ないんじゃありません。
ここには本来だったら「百鬼夜行絵巻」が展示されなかった可能性すらあったのです。 むしろ「百鬼夜行絵巻」を置いてくださってありがとうございました、とアンケートに書くべきだったのです。
もう一度立川に行って詫びを入れてきたいです。 てゆーか実は、立川にはもしかしたら会期中もう一度行くかも知れないんですけどね。
8月10日に展示替えがあるのです。
普通、展覧会の会期って1ヶ月とかそれ以上ですが、こういった古い絵巻物や和書などは3週間くらいが限度らしいです展覧会場に置くのは。それ以上だと、蛍光灯とかに当たるせいで傷みがかなりひどくなるらしい。 なのでこういった展覧会ではほぼ例外なく会期中の展示替えがなされるんだとか。
そんなわけでこの連携展示でも展示替えがあるんですが、展示替え後の展示物ももちろん見たいです。
佐倉の方も、展示替えの関係で見ていないものが1点あるんですが、もし余裕があったら佐倉にももう一度行きたいもの。
妖怪に興味があるんなら、行って損はない展覧会だと思います。
そして最後に、冒頭で書いたとおり、デジタリアンの方々への情報提供。
この連携展示、どちらの会場にも大画面ディスプレイ(縦が50型テレビくらいで、横がそのワイドよりもさらに長いくらいだったかなぁ)があり、4本の絵巻物をデジタルアーカイブとして見ることができます。
そのディスプレイは、タッチスクリーン方式のインタラクティブ・サイネージです。
画面上にある、選択ボタンや戻るボタン、矢印ボタンが押せるなんていう、ありきたりのものではありませんぞ。 すっげーでっけー iPhone だと思っていただければ、雰囲気は伝わるんじゃないでしょうか。 シングルタッチですけどね。
絵巻物を表示中にディスプレイをダブルタップすると画像を拡大、画面を撫でると画像をドラッグすることができます。
こういう iPhone 的な操作ができる大画面のインタラクティブ・サイネージってまだまだ少ないんじゃないかと思うんで、かなり印象に残りました。
まぁ私はそういうものを生業にしていないので勘違いの可能性もありますが、デジタリアンにおかれましては、今後急速に進化・普及するであろうインタラクティブ・サイネージの初期段階ということで見ておいても損はないんじゃないでしょうか、と愚考する次第。 などと ActionScript ブログっぽいことも書いておきますよ。