Papervision3D ではじめる Flash3D アニメーション
2009/09/05 00:07 - Flash参考書
Amazon レビューで酷評がついてますが、それもムリないかなぁ、とは感じます。 以下の二つの点で文章に贅肉つき過ぎですよ。
- ごくごく基本的な ActionScript についての説明
- 「寒い」を通り越して「痛い」枕詞風の駄文
そんなメタボな文章をちゃんとダイエットすれば、たぶん75%くらいのページ数で済むはず。 そうすりゃもうちょっと良心的な価格でご提供できるんじゃないですかね? (まぁメタボな文章ってことに私が異を唱えるのも如何なものかという気がしないでもないですが)
まず 1. から。
データ型から始まって、プロパティやコンストラクタ、メソッドなどの記述法、イベント、ループ処理の書き方などについて一つの章を費やしています。
Papervision3D についての本でこんな基礎以前の話に一つの章を割くというのは、どうなんですかね? またそれ以外の本文中でも for 文の書式とか出てきたりして(P188)愕然としました。
ActionScript どころかプログラム言語自体が初心者である層に向けた本ですか? そういう人に Papervision3D はどうかと思いますけどねー。
2. について。
例えばこんな文章。
人間には光の部分と陰の部分がありますが、Chapter7ではPapervision3Dの光の部分と陰の部分、つまりライティングとシェーディングについて考えていきたいと思います。(P216)
最初の読点までの文章は必要なんですかね?
あるいはこんな文章。
(Line3D クラスを使って Cube を描いたときの話として)Cubeオブジェクトからは、アンテナのような緑・青・赤のラインが出ており、なんだか人工衛星のように見えなくもないですね。(P167)
(「東のエデン」風に)私見は要らん! 筆者はこの人工衛星という譬えがよっぽど気に入ったらしく、その後も何度か出てきます。
果てはこんな文章を見るに至っては、もうどうしたら良いのやら。
「カメラを制する者は、Papervision3Dを制す」というよく知られた格言があります。単に私が今思いついた言葉ですが。それはさておき(以下略)(P138)
ウィットに富んだ小洒落た文章書いてるつもりなんですかねー。
これらはごく一部です。こんな調子の文章が頻発です。 個人がブログで書いてる文章ならこんなノリも許されるだろうけど、金取る書籍をこういう駄文で水増しすんのはどうなのかしらねー。
そんなこんなでかなりイラっとくる本ですが、でもそういうのは読み流せば好いことと割り切りましょう。
Chapter 5 の 05-03 プリミティブオブジェクトや、05-04 マテリアルなどの項目はリファレンスとして耐えうるものだと思うし、Chapter 3 3D 座標の基礎知識も改めて紙媒体で読むと、より深い理解の助けになるんじゃないでしょうか。
以前 Papervision3D に触れていたけど現在遠ざかっている私としては、1.7 と 2.0 の差分の知識を得る手段として、はたまた復習として、けっこう有意義に感じられる本でした。
まぁ問題なのは 2.0 がいつまで生き続けるか、ってことですかね。
この本の本文中にも触れてありますが、PapervisionX として、FlashPlayer 10 によるネイティブ 3D を使う Papervision も始動していることですし。
ところで Papervision3D についての解説書は洋書の方が先に出るもんだとばかり考えていましたが、和書の方が先に出るとはなぁ(「Flash 3Dゲーム制作」はひとまず措く)。
Amazon によると、現在以下の2冊が近刊として予定されています。
- Experience Papervision3D
(版元のページ 2009/11/16 予定)
- Professional Papervision3D
(版元のページ 2010/02 予定)
また、Amazon では検索に引っかかりませんが、"Papervision3D Essentials" という書籍が発売されました。
永らく Papervision3D の本は出なかったのに、リリースがそこそこ続きますね。
Papervision3D がライブラリとして枯れつつあるってわけでもないでしょうが、こいつらも刮目して待ってみますか。