スペル
2009/11/26 20:03 - さ・ざ行
いやーこれは怖い映画ですね。
怖いといっても、ショッカー・ホラー・サスペンスなどのジャンルの映画として良くできた怖い映画である、という意味ではないです。 もちろん出来が悪いわけではないですが、ジャンル映画としての出来云々よりも、その内容が実に恐ろしい。 鑑賞後いつまでも尾を引く、イヤ~な怖さ。
こんな理不尽なことが許されるのか! と、そのあまりの不条理に愕然とし、やり場のない怒りに苛まれます。 とにかく不愉快な気分になれること請け合い。
人間として当然の義務を果たさないうえ、たしなめられると逆ギレ。そんな最下層の人間に、偶々、関わりあってしまったために、今まで努力を怠らず、誠実に人生を送っていた人間が、こともあろうに地獄で永遠に苦しまなければならないというこの不条理この理不尽。
我々小市民としては、戦慄を禁じえない。
しかしちょっと考えてみると、そんな不条理や理不尽は、我々が生きているこの世界で当たり前のように起きているのです。 そう思い至ったとき、さらに暗澹たる気分に突き落とされます。
スーパーナチュラルを扱っていながらも、実はリアリズムだという、とても考えさせられる映画なんじゃあないでしょうか。
ところで、ラストシーンへの伏線が、映画のかなり初期に描かれています。 なんか変わったことするなぁ、とそのときは感じただけなのですが、それが最後の最後でとんでもない事態を引き起こすとは。 あっ、と驚かされましたよ。実に巧い。
それに対して、一番最初の、過去を描いたシーケンスは別になくても良かったんでは。 「因縁の対決」というテーゼは別にそれほど重要なものでもないようだし。