ブレイブ ストーリー
2006/08/01 22:41 - は・ば・ぱ・う゛行
ジブリ・コンプレックスというのは実にやっかいな病気ですね。
アニメキャラクターに最終的に命を吹き込むのは、やはりどうしたって声の演者。 声優である必要はもちろん無いけれども、声優並みに声だけで表現できる能力を持った人を使うべき。
その点では、キ・キーマ(大泉洋)とカッちゃん(虻川美穂子)くらいが及第点だなぁ。
松たか子の演技は巧いけど男児の声に聞こえない。これはいくら演技が巧かろうと致命的な欠陥と言って良いと思います。
あと、伊東四朗も樹木希林もなんかイマイチだった。
声の演者がヘボだと、その作品自体の出来も著しく減殺されるということを、いいかげん自覚してほしいもの。
まぁ、そんなことよりも、石田太郎(ダイモン司教)や矢島晶子(ゾフィ皇女)までもが下手に聞こえたのが、あまりにもショックだったワケですが。
声談義はそれくらいにして、以下、中身についての感想。
絵に関してはさすがGONZO。言うことないでしょう、ハッキリ言って。
ストーリーについては、客層を主眼に据えて考えてみればそんなにヒドくもないのでは? というのが正直なところ。
原作読んでいないんで、何であそこを切ったんだ、何でこんな風に改変したんだ、とか、原作読者ならおそらくは出るであろう不満は、自分としては一切ない。
たしかに無謀なまでのスピード展開だし、いらん部分がまだまだ残っているな、とは思うものの、総じて見れば、けっこう健闘したシナリオだと思う。
もし自分が客層に入っているんだったら許しませんよ、こんな練り込みの足りないシナリオ。
1年半もかけてこのザマでは、いくらなんであんまりというもの。
でも、これはあくまでも小学生くらいの子供へ向けて作られたもの。
メス猫ゲットから水の都までの亜光速旅行も、キング・クリムゾン発動しまくりのブツ切り展開も、飽きっぽい子供をターゲットとしているならば、一選択肢として充分アリでしょう。
幻界から戻った後、ワタルの家族は壊れたままなのに、芦川兄妹は共に現世で生きているラストシーンも、物語ルール的にはちょっと納得しかねますが、子供向けならこれもまたアリ。
それなりに感動的なラストだし。
だいたい、文庫本で3冊にもなるような長い作品を2時間程度の映画に納めようとするのがそもそも非常識。
責任の所在を追求するならむしろ、この原作を選んだ人間が全ての責めを負うべきでしょう。
まぁ個人的には、何十年も昔のロープレみたいな陳腐きわまりない世界観や、最後の敵は自分自身だなんて夢オチ級の反則が、もしも原作通りなんだとしたら、こんなイマジネーションの乏しい作品を平気で発表できる神経を持った小説家も、かなり問題ありだと思いますよ、実際のところ。
いや、宮部みゆき作品は一冊も読んだことのない人間が、ここまで言い切っちゃうのもアレですが。