さくや 妖怪伝
2006/08/20 21:03 - さ・ざ行
「あぁ、ワーナーつかまされたな」というのが、この映画の正当な評価でしょう。
まぁこの監督にとっては、昭和40年代の大映妖怪三部作に出て来た妖怪を再現することだけが目的で、作品としての完成度は二の次三の次なんでしょう。
でもそういうことは同人でなら許されもするでしょうが、商業ベースでやるんなら、もうちょっとオトナの対応を望みたいものです。
そして彼は「跋扈妖怪伝 牙吉」で性懲りもなく恥の上塗りを重ねるわけですが、それは後の話。
まぁそこまで悲惨なこの映画ですが、その欠点をすべて帳消しにする美点がふたつあります。
まず特撮がすばらしい。
ダイナミックな光学処理の場面なかなか良いですが、ミニチュアがとても良い。
特に冒頭の、地割れに呑みこまれる神社の石鳥居の崩れ方がとにかく美しい。必見。
特技監督は実に良い仕事をしていますねぇ。
そして松坂慶子。
もちろん丹波哲郎や藤岡弘の存在感もすばらしいですが、こんなゲテモノな役を嫌な顔ひとつせず見事に演じきる松坂慶子が実に美しい。
こういう役をオファーしたスタッフの蛮勇と、 そのオファーを受けた松坂慶子の侠気に惜しみない拍手を送りたいと思います。
この2点においてのみ、この映画は見る価値あり。